設立趣旨

特定非営利活動法人ウェブアクセシビリティ推進協会設立趣旨書

情報社会の到来により、情報格差の解消が求められる中、ウェブアクセシビリティの必要性が、2001年に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略会議で指摘された。これを受け2004年に国内標準として日本工業規格(JIS X 8341-3)が制定された他、2005年に総務省の研究会が「みんなの公共サイト運用モデル」を作成し、地方自治体及びウェブアクセシビリティに関心を持つ企業に対する普及啓発活動が行なわれた。ウェブアクセシビリティへの取り組みは、企業の社会的責任の観点からも重要との認識も高まってきた。

ウェブは、すでに社会生活に不可欠なインフラである。ウェブを利用した経済活動も盛んになってきた。ウェブは、高齢者・障害者の日常生活向上、社会参加の機会拡大・就業支援に大きな役割を果たす重要な生活ツールのはずである。しかし、国内標準に準拠したウェブは未だに少なく、普及の現状には多くの課題がある。

ウェブアクセシビリティの実現には、W3C(World Wide Web Consortium)によるWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)および国内標準(JIS X 8341-3)を基盤として、ウェブ制作者自らがウェブを制作していく必要がある。さらにウェブの品質を長期的に維持し、向上させることも重要な課題である。

ウェブを利用する、制作する、提供する等立場は違っても、ウェブはすべての人にとって使いやすいものであるべきという理念に賛同する団体や企業が集まり、同じ目的を持って活動する場を提供するため、特定非営利活動法人ウェブアクセシビリティ推進協会を設立しようと、私たちは決意した。

この法人は、高齢者・障害者を含めできる限り大勢の人々がウェブの利便を享受する社会を実現するため、ウェブアクセシビリティに関する国内標準(JIS X 8341-3)を基盤として、アクセシビリティの高いウェブを広く普及・推進することを目的とする。

この法人は、日本のウェブアクセシビリティの品質レベルを維持・向上させていく活動、ウェブアクセシビリティに関する普及啓発活動、ウェブアクセシビリティをさらに向上させるための調査研究活動、関連機関及び諸団体との提携協力関係の構築、およびこれらの項目を達成するために必要な事業を実施する。

WCAG 2.0は2008年末にW3Cの勧告となり、WCAG 2.0をほぼ完全に取り入れた形でのJIS X 8341-3の改正作業も進んでいる。この法人の設立と活動開始は、ウェブアクセシビリティの認知・普及のタイミングとしてベストな時期と考えている。

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