連載記事ウェブアクセシビリティを知ろう
連載3:賞品がわからないネット懸賞
田中 章仁(NTTクラルティ株式会社)
2020年6月1日
私は全盲の視覚障がい者です。障がい者がウェブサイトを利用していて感じていることを、ここでは紹介していきたいと思います。
私が画面上の文字を読み上げるスクリーンリーダーを知ったのは2002年のことでした。
ちょうど視力が低下しパソコンの画面を見ることができなくなり、勤務していた企業をやめることを決意したころです。
スクリーンリーダーに触れた時、「これがあれば社会復帰できるのではないか」と希望を持ったことを覚えています。
しかし、ウェブサイトを閲覧している時にスクリーンリーダーも万能ではないことにすぐ気づきました。文字を読むことができても、読み上げることができないものや、操作できない箇所があるのです。
読み上げられないもののひとつが写真や図、イラストなどの画像です。
当時、ネット懸賞にいろいろ応募していた時のことです。「プレゼント内容」と読み上げるものの、まったく内容を把握することができないものがありました。プレゼント商品の写真と当選人数などがひとつの画像として表示されていたのです。
アクセシビリティのガイドラインでは、画像に代替テキスト(説明の文章)を設定することが求められています。今回の例では代替テキストとして「プレゼント内容」と設定されていました。確かに「プレゼント内容」の画像ですが、それではスクリーンリーダー利用者には十分情報が伝わりません。
皆さんなら、何がもらえるかわからないプレゼントに応募したいと思いますか?
ウェブ制作の方には、ウェブサイトに画像を設置する際、どのような情報を伝えたいか、利用者はどんな情報を必要としているかを考えて画像の代替テキストを設定してもらいたいと感じます。