連載記事ウェブアクセシビリティを知ろう

連載7:難関!画像認証

田中 章仁(NTTクラルティ株式会社)
2020年9月23日

今回も前回同様、スクリーンリーダーを利用する視覚障がい者にとってのバリアについて書きたいと思います。

下のような画像を見たことがありませんか?

画像認証画面のイメージ:ノートパソコンの画面に「画像の文字を入力してください。」と表示してあり、キーボードで入力しようとしている

ウェブサービスのアカウント作成時や、ネットショッピングの買い物確定時などに表示される画像認証用の画像です。
画像に表示されている文字を入力することで先のページに進むことができるものですね。
画像に描かれた文字をコンピュータが認識することができないため、コンピュータによる不正アクセスを防ぐことができるということでセキュリティ対策として設置されています。

これがまた画像を見ることができないスクリーンリーダー利用者にとってバリアになります。
画像に代替テキストをつければ良いように思いますが、それはできません。不正アクセスのコンピュータに解析されてしまう可能性があるからです。
ではどうすれば?

ウェブアクセシビリティのガイドラインには、認証方法をふたつ以上用意することが、解決策のひとつとして記載されています(※注意)。

画像認証に加え、音声認証(音声を聞いて流れた文字や単語を入力する仕組み)を提供する方法です。音声であればスクリーンリーダーを利用する視覚障がい者も使えるはず!

しかし、この音声の聞き取りが意外と難しいのです。文字の場合、「b」「d」「g」など1文字だけでは聞き分けづらいものもありますし、単語の場合、知らない英単語が流れ聞き取れないなんてことも。
私のヒアリング能力の問題ももちろんあるのですが。

これまでもせっかくウェブサービスのアカウントを作るために必要な情報を全て入力したのに、最後の最後にこのような認証があり、泣く泣く登録を諦めるなんてこともよくありました。

画像認証と音声認証のふたつがあればガイドラインに沿ったものにはなりますが、日本語ページでは日本語で音声を流すなど、制作者には想定する利用者の特性に合わせた認証方法を用意してもらいたいと思います。

※注意:ふたつ以上の認証方法が必要なのは、例えば、音声認証だけでは聴覚障がい者が利用できないなどの、ひとつの方法では問題が発生するためです。

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