連載記事ウェブアクセシビリティを知ろう

連載10:スクリーンリーダーの誤読を防ぐのは難しい?

田中 章仁(NTTクラルティ株式会社)
2021年2月15日

これまで私の記事では、スクリーンリーダー利用者にとってのバリアである画像部分の読み上げについて書きましたが、実はキーボードから打ち込まれた文字でできている文章(以下、テキスト)についてもバリアが存在します。

皆さんは、以下をどのように読みますか?

(1)3/4 (2)高原 (3)菅首相

(1)は、そのまま「3スラッシュ4」と読む人もいると思いますが、場合により、「4分の3」や「3月4日」と読み替える人もいると思います。

(2)は、概ね人の名前であれば「たかはら」、地名であれば「こうげん」と読みます。

(3)は、2020年であれば「すがしゅしょう」ですが、10年前の2010年であれば「かんしゅしょう」でしょう。私が利用しているスクリーンリーダーは「すがしゅしょう」と読みましたが、「菅総理」は「かんそうり」と読みます。(笑)

スクリーンリーダーを長年利用している人は、読み上げの間違いがあっても頭の中で自然に変換して文章を理解できることも多いですが、文脈では判断できないことも多くあります。ウェブサイト制作の際、読みが複数ある固有名詞にはカッコ書きで読み方を記載するなどの配慮があると良いかもしれませんね。

人工知能の進化でテキストから文脈を解析して正しい読み上げ方が判断できれば、スクリーンリーダーでも正しく読み上げられるようになる部分もあると思いますが、人名の読み分けなど解決が難しい問題も残るのだと思います。10年後、「菅元首相」を正しく読み分けられるスクリーンリーダーは出てくるでしょうか?

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