連載記事ウェブアクセシビリティを知ろう

連載1:ウェブアクセシビリティの世界にようこそ

渡辺 隆行(JWAC理事長,東京女子大学)
2020年6月1日

2020年度よりJWACサイトでウェブアクセシビリティに関する様々な情報をわかりやすく発信していくことになりました.JWAC理事には,ウェブアクセシビリティの研究や教育をしている人間,ウェブアクセシビリティの仕事をしている人間,当事者としてウェブアクセシビリティに関わっている人間など様々なメンバーがいます.それぞれの立場から情報を発信していこうと考えています.

私は研究者&教育者として「ウェブアクセシビリティ入門」シリーズを書いていこうと思っています.私の研究業績はResearchmap外部サイトを別ウインドウで開きますをご覧ください.大学の授業は情報デザインを担当しており,人間中心設計,ウェブデザイン,ユニバーサルデザインなどを教えています.私がウェブアクセシビリティに本格的にかかわったのはJIS X 8341-3:2004の策定ワーキンググループに参加した時でした.その後,JIS X 8341-3:2010策定ワーキンググループの主査,W3C/WAIのWCAG 2.0ワーキンググループの参加者,W3CのAdvisory Committee,産学連携・インターネット技術第 163 委員会 (ITRC)のUAI(Universal Access to the Internet)分科会主査などを務め,CIAJの情報通信アクセス協議会の下にウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)を創設し初代委員長を務めました.総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン」の委員なども務めました.

なぜ「ウェブアクセシビリティ入門」を書こうと思ったのか.そのわけは煉瓦を積み上げたいと思うからです.2003年ごろからウェブアクセシビリティに関わっていますが,2020年の今もその頃もウェブアクセシビリティに携わる人は同じようなことに悩んで同じようなことを新たな発見であるかのように発信していると思います.つまり,知識が蓄積していかないのです.考えてみれば,ウェブもウェブアクセシビリティも新しい分野なので,今ウェブアクセシビリティに携わっている人は学校でこの分野を学んでいません.しかしウェブアクセシビリティは情報工学や人間工学や心理学などの学際的な学問の上に成り立っている分野だと思います.これらの基礎知識を知ることにより,なぜJIS X 8341-3がそれを要求しているのか,そのコンテンツがアクセシブルかどうかを判断する基準は何かなどが体系的にわかると思います.

長いシリーズになると思いますが少しずつ書いていこうと思うのでご期待ください.質問なども歓迎します.

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