連載記事ウェブアクセシビリティを知ろう

連載5:アクセシビリティとは?

渡辺 隆行(JWAC理事長,東京女子大学)
2020年7月21日

ウェブアクセシビリティと一言で言いますがアクセシビリティ(accessibility)の捉え方は様々です.英語版のWikipediaには,“the design of products, devices, services, or environments so as to be usable by people with disabilities.”と書かれていて,モノやサービスや環境など有形無形の色々なモノコトが障害を持つ人々に使えることと説明されています.日本語版のWikipediaでは「近づきやすさやアクセスのしやすさのことであり、利用しやすさ、交通の便などの意味を含む。」と書かれていて,同じWikipediaでもこんなに違うのかと驚いてしまいます.

アクセシビリティの親類がユーザビリティ,ユニバーサルデザイン,バリアフリー,インクルーシブデザインなどではないでしょうか.アクセシビリティとの違いが良くわからないと学生から質問されることもあります.

ユーザビリティは,JIS Z 8521:2020(ISO 9241-11:2018)では,「あるシステム,製品,又はサービスが、指定された利用者によって、指定された利用の状況下で、指定された目的を達成するために用いられる際の、有効さ、効率及び利用者の満足度の度合い。」と定義されています.ユニバーサルデザインは,Ronald Maceによって「すべての製品や建物を,年齢や能力や地位に関わらず,できるだけ多くの人にとって,美しくて使いやすく設計すること.」と提唱されました.バリアフリーは日本の建物や交通機関でよく聞く言葉ですが,障害者にとって物理的なバリアになるものを取り除く(取り除いた)こととして使われているように思います.インクルーシブデザインはユニバーサルデザインより前にイギリスで提唱された考え方だと思いますが,不自由を抱えている当事者を被験者や対象者として扱うのではなくインクルーシブに扱うことを示唆しているために最近注目されています.

私は,ユーザビリティの対象者を障害者(や障害を持つ高齢者)に焦点化するとアクセシビリティになると考えています.ユーザビリティでは,有効さ・効率・満足度が下位要因となっていますが,アクセシビリティでは「そもそも障害者が使えるのか?」からスタートしています.そのうえで,障害を持たないユーザと同じように使えるのかが問われています.また,障害者は車いすやスクリーンリーダなどの支援技術を用いていることが多いので,支援技術込みで使えることが重要です.JIS X 8341-1でもICT分野のアクセシビリティを「様々な能力を持つ最も幅広い人々に対する製品,サービス,環境または施設(のインタラクティブシステム)のユーザビリティ」と定義しています.

指定の文字数を超えたので今日はこれで終わります.続きはまた!

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