連載記事ウェブアクセシビリティを知ろう

連載22:ウェブアクセシビリティとADAに関する手引き(その6)

山田 肇
2022年3月25日

「その5」に戻る

(手引き本文)

障害を持つ人々のためのウェブアクセシビリティは司法省の優先事項

連邦議会が1990年にADAを制定したのは、ADAが現代の急速に変化するテクノロジに対応するためだった。1996年以来、司法省はADAがウェブコンテンツに適用されるという立場を一貫して取っている。以下のサンプル事例(訴訟例など)が示すように、司法省は、企業、州政府、地方自治体が一般に公開する商品、サービス、プログラム、および活動を確実に利用する際、障害者がウェブサイトにアクセスできるようにするために、執行権限を行使している。

タイトルIIサンプル事例

Project Civic Access:シビックアクセス・プロジェクトを実施する一環としてウェブアクセシビリティに対応することについて、司法省は全国の市や郡の多数と合意に達した。たとえば、コロラド州デンバー市と郡、フロリダ州ジャクソンビル市、ノースカロライナ州ダーラム市である。

オハイオ州マイアミ大学:オハイオ州マイアミ大学が提供するウェブコンテンツと学習管理システムのアクセシビリティ対応が不十分で、障害のある学生を差別したと主張する訴訟について合意によって解決した。

テキサス州ニュエセス郡:テキスト読み上げソフトウェアを使用する障害者がオンライン会議登録フォームにアクセスできないという主張について、テキサス州ニュエセス郡との間で主張に対処すると合意した。

ルイジアナ工科大学:目の見えない学生がアクセスできないオンライン学習教材を使用しており、大学はADAに違反したという主張について、ルイジアナ工科大学が対処することで合意した。

タイトルIIIサンプルケース

Rite Aid Corporation:COVID-19ワクチン登録ポータルのアクセシビリティの障壁に対処するためにRite Aid Corporationと合意した。

HRB DigitalおよびHRB Tax Group(H&R Block):障害を持つ人がスクリーンリーダーソフトウェア、点字ディスプレイ、キーボードなどの支援技術を使用できないという課題の解決について、H&R Blockと合意に達した。

Peapod:オンライン食料品配達サービスに障害を持つ一部の個人がアクセスできないという主張に対応するようにPeapodと改善を合意した。

(手引き本文の最後)

(解説)

手引きは、ウェブアクセシビリティ対応の重要性について、基礎の基礎を学べる教材である。わが国での実践にも利用できるだろう。

余談だが、この手引書の発行を伝える連邦アクセス委員会(大統領直轄で障害者政策を進める連邦の中枢機関)からの告知には、手引きが平易な言語(plain language)で書かれているとの記述がある。2010年連邦平易表記法は連邦機関に平易な言語の使用を求めている。英語が不自由な人々も理解できるように書かれた手引きは、確かに読みやすい。

ページの先頭に戻る