連載記事ウェブアクセシビリティを知ろう

連載30:ウェブコンテンツの読みやすさを改善する

山田 肇
2023年10月11日

ウェブコンテンツのアクセシビリティ基準はJIS X 8341-3で規定される。基準の一つひとつは、絶対に守らなければならないレベルA、大多数の閲覧者のニーズを満たすレベルAA、達成には努力が求められるレベルAAAの三レベルに分類されている。

テキストのコンテンツを読みやすく理解可能にすること、すなわち読みやすさの基準として「読解レベル」が次のように規定されている。

固有名詞や題名を取り除いた状態で、テキストが前期中等教育レベルを超えた読解力を必要とする場合は、補足コンテンツ又は前期中等教育レベルを超えた読解力を必要としない版が利用できる。

読解レベルはAAA、つまりサイトを提供する側が努力をしないと達成できない基準である。では、提供者はどんな努力をしたらよいのだろうか。

国際標準化機関ISOで先般ISO 24495-1:2023 “Plain language — Part 1: Governing principles and guidelines”が出版された。この標準にはプレインランゲージの原則が記載されている。プレインランゲージは、作成者が意図した対象読者と効果的にコミュニケーションをとる情報発信文書を作成する際に用いられる技法である。プレインランゲージが最も広く使用されているのは、広く市民に向けた、ウェブコンテンツを含む、文書である。

詳しくは標準そのものを見てほしいが、プレインランゲージの標準は4つの原則を提示する。原則1は読者自らに関連する、必要な情報を対象読者が入手できるように求める。原則2は探しやすさを規定し、対象読者が必要な情報を簡単に見つけられるように求める。そのうえで、原則3:対象読者は見つけた情報を簡単に理解できる、原則4:対象読者はその情報を使いやすいが規定されている。原則に関する詳しい説明を読めば、具体的にどう対応すればよいかがわかる。

対象読者とは誰か。前期中等教育レベルの読解力を持つ人を対象読者にするようにと、ウェブアクセシビリティガイドラインは求めている解釈できる。前期中等教育レベル、つまり中学卒業生レベルの読者が必要な情報を入手でき、それが容易に見つけられ、理解でき、利用できればよい。

プレインランゲージの国際標準を横に置いて、コンテンツの表現を工夫していく。これが、提供側に求められる努力である。新しく生まれたこの標準をJIS X 8341-3と共に利用してほしい。

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