連載記事ウェブアクセシビリティを知ろう

連載22:ウェブアクセシビリティとADAに関する手引き(その1)

山田 肇
2022年3月25日

米国連邦司法省は2022年3月18日にGuidance on Web Accessibility and the ADA外部サイトを別ウインドウで開きます(ウェブアクセシビリティとADAに関する手引き)を公表した。全文を翻訳し紹介する。翻訳の責任は山田 肇にある。

(手引き本文)

障害を持つアメリカ人法(ADA)での義務に沿って、障害を持つ人々が州政府、地方自治体、広く市民を対象とする企業のウェブサイトにアクセスできるようにする方法について説明する。

企業、州政府と地方自治体に課せられたADAに基づく法的責任について詳しく学んでほしい。

ウェブアクセシビリティが重要な理由

アクセスできないウェブコンテンツは、障害を持つ人々が情報への平等なアクセスを拒否されているということを意味する。アクセスできないウェブサイトは、物理的な場所、たとえば入り口の階段と同じくらい多くの人を排除する。障害を持つ人々のためにウェブアクセシビリティを確保することは、司法省の優先事項である。近年、多くのサービスがオンラインに移行し、人々は日常生活のあらゆる面でかつてないほどウェブサイトに依存している。たとえば、投票情報へのアクセス、最新の安全衛生リソースの検索、大量輸送機関のスケジュールと運賃情報の検索など、日常生活はウェブサイトへのアクセスにますます依存するようになった。

障害を持つ人々はさまざまな方法でウェブをナビゲートする。目の不自由な人は、画面に表示されるテキストを読み上げるスクリーンリーダを使用できる。聴覚障害者や難聴者は字幕を使用できる。また、マウスを握って動かす能力に障害を持つ人々は、音声認識ソフトウェアを使用して、コンピュータやその他のデバイスを口頭のコマンドで制御できる。

ウェブサイトの設計と設定の方法によっては、障害者によるウェブサイトの使用を困難または不可能にする不要な障壁を作り出す恐れがある。ちょうど、階段などの物理的な障壁が、一部の障害者が建物に入るのを妨げる可能性を生むのと同じである。ウェブ上の多くの障壁により、障害を持つ人々は、企業や州政府および地方自治体がオンラインで一般に公開している情報やプログラムにアクセスできなくなる。しかし、これらの障壁を防止または除去して、障害を持つ人々がウェブサイトにアクセスできるように改善できる。

(解説)

ADAは障害者の権利を擁護する人権法である。ADAに基づいてウェブアクセシビリティに関する多くの訴訟が提起され、障害者の勝訴が続いてきた。

日常生活がウェブサイトへのアクセスにますます依存する今、連邦司法省はADAを主管する政府組織として、ウェブアクセシビリティに関する基本的な知識を提供する手引きを発行した。

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